今回は採択後の話について。
無事採択されて実際に補助金が口座に振り込まれるまでが補助金申請です。
その間にはやることがいっぱいあるので、その流れについて解説していきます。
補助金申請の流れ
全体の流れは上記のようになります。
採択されてもまだ補助金を受け取る権利はなく、採択後に行う「③交付申請手続き」「④交付決定」で初めて補助金を受け取る権利を獲得します。
その後、補助事業を実施して「⑥実績報告」をして最終的な補助金額が決定します。
そして国に補助金を請求して無事受給という流れです。
「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」はとにかく細かい
持続化補助金は採択後すぐに「交付決定」され、実績報告もさほど面倒な作業はないので特に問題はありません。
大変なのは「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」です。
なぜ大変かと言うと、
『とにかく細かいから』
です。
交付申請に限らず、実績報告もとにかく細かいです。
申請者の明らかなミスで書類の不備があるならしょうがないですが、「それくらい見ればわかるだろう!」「別の書類に書いてあるだろう!」と言いたくなるような指摘がとにかく多いです。
例えば「見積書」。
見積書をもらう場合、複数の機械や設備がある時は1枚の見積書に複数の設備名・機械名(機械A、機械Bなど)が記載されているのが一般的だと思います。
ただ、これが通用しないケースがありました。
交付申請時には補助対象経費をすべて羅列して記載し、それに該当する見積書を添付する必要があるのですが、その際複数の機械名が記載されている見積書でどれがどの補助対象物かわかるようにそれぞれ機械名や金額を赤枠で囲って「この経費に該当するのはこの機械です」とわかりやすく書いたものを出してもNGと言われました。
補助金事務局の言い分は「複数の機械名が記載されている見積書はダメ。1つの見積書に1つの機械しか書いていない見積書を提出せよ」です。
ちなみに1見積書1項目のみにしなさいというのはどこにも書いていません。また、事務局側が把握しやすいようにそれぞれの機械名や金額を赤枠で囲っているにも関わらずこのようなことを言われるんです。
「それくらい見ればわかるだろう!」が通用しないということです。
さらに私達もそれなりの数のサポートをしていますが、過去に同じような形で交付申請をした方は何も指摘されることなく通っていてこのように言われたのは初めてでした。
「それくらい見ればわかるだろう!」が通用しないだけでなく、担当者によって対応もバラバラだということもわかりました。
あとは「値引きの計算」もそうです。
見積書ではよく「値引き」の項目がありますが、これが非常に厄介です。
その値引きが見積書全体に関係するのか、ある特定の項目に関係するのかを示す必要があり、さらに値引きが複数の項目に係る場合はそれぞれの項目の金額に応じて値引き額を割り振りして、実質的な金額を出す必要があります。
例えば、
機械A:100,000円
機械B:50,000円
小計:150,000円
値引き:30,000円
合計:120,000円(税別)
のような場合、
値引き額30,000円を機械A・Bそれぞれの金額に応じて按分します。
この場合、100,000円:50,000円=2:1なので、値引き額30,000円をそれぞれに按分して、
機械A:80,000円
機械B:40,000円
という金額を交付申請書類に記載しなければなりません。
その按分が割り切れなかった場合は小数点以下3桁まで出す必要があったり、提出書類のエクセル計算式がおかしくて小数点以下の計算があわず、実際の金額と提出書類の金額で数円の誤差がでたりもします。
その誤差についても「これこれこういう理由で誤差が出てます」と説明する書類を別に添付しても「意味がわかりません」と言われたりします。
ちなみに、お気づきの方もいるでしょうが、この値引き按分の案件は「1見積書1項目」とは一切言われず、何も問題なく手続きが進みました。
これ以外にも別の書類に書いてあることを「この内容が書かれていません」と言われたり、補助金対象外となった経費を提出書類の中で「これが補助金対象外経費です」と書いているにも関わらず「見積書にも手書きで補助金対象外と明記せよ」など予め示されている報告マニュアルに書かれていないような細かい指摘がとにかくたくさんあります。
補助金事務局の方々は業務委託の派遣会社がやっていて決裁権がなく、しょうがないといえばしょうがないですが、事前情報にないことを次から次へと指摘されるので慣れていないと対応するのはとても大変です。
これから申請を考えている方へ
補助金は受給できれば数百万円、数千万円の返済不要のお金を受け取れるので事業にとって非常に大きいですが、その分申請過程は大変です。
受けとる補助金額と労力のバランスを考えて、申請するかしないかを判断するのもいいかもしれません。
また、自社の労力を使うのと専門家を使うのも労力と費用、補助金額のバランスを考えてみてもいいかもしれません。
申請の参考にしてみてください。