今回はよく質問される『ものづくり補助金と事業再構築補助金の違い』についてまとめてみます。
それぞれ要件が異なるため、自社の状況に合う方を選択するといいかと思います。
ものづくり補助金は大きく「一般型・グローバル展開型」と「ビジネスモデル構築型」の2グループに分けられていて、今回は一番申請が多い「一般型」のみに絞って書いています。
2つの違いを簡単に一言で言うと「【ものづくり補助金】の上位互換が【事業再構築補助金】」です。
以下、2つの違いについてまとめていきます。
2つの補助金の違い
目的について
「ものづくり補助金」はコロナ流行前からある補助金で、新サービスや新商品開発、生産性向上のための設備投資が補助対象となる補助金です。
その後、新型コロナウイルスの流行により登場したのが「事業再構築補助金」です。
それぞれの目的は以下の通りです。
●事業再構築補助金
本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分
野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
●ものづくり補助金
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。
「事業再構築補助金」は名前の通り『事業の再構築』に係る設備投資を補助するというもの、「ものづくり補助金」は『革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善』に係る設備投資を補助するものという違いがあります。
要件について
「事業再構築補助金」の要件は前回第10回から非常に複雑になりました。
というのも、第10回から新年度予算での運用となり、申請枠も一新したためです。
最新の事業再構築補助金の申請枠と主な要件は以下の通りです。
(※画像をタップすると拡大します)
複雑なので、ご自身がどの申請枠に該当するかどうか知りたい方は専門家のアドバイスを受けたほうが良いかと思います。
ちなみに、第10回にあった「サプライチェーン強靭化枠」は第11回からはなくなりました。
一方、ものづくり補助金は特に要件はありません。
補助上限額について
次に補助上限額ですが、ものづくり補助金は事業再構築補助金と比べると補助上限額の幅が狭く、申請者を絞り込んでいるのがわかります。
一番申請者が多い「ものづくり補助金一般型(通常枠)」は750万円~1,250万円と更に補助上限額が絞り込まれています。
一方、「事業再構築補助金」は最低補助金額100万円から最大は1.5億円までと幅広い申請者を見込んでいるようです。
なので、「1,000万円~1,900万円(税別)以内の設備投資」を検討している方はものづくり補助金と事業再構築補助金のどちらかを申請することができますが、「1,000万円以下、1,900万円を超える設備投資」を検討している方は事業再構築補助金の方が適していると言えます。
ちなみに、どちらの補助金も従業員数によって補助上限額が異なります。従業員数が少ないとそれだけ補助上限額も少ないのでご注意ください。
補助率について
補助率は「事業再構築補助金」の方が優遇されています。
ちなみに、どちらも「小規模事業者」はさらに優遇されていて、この定義は、
『常勤従業員数(=正社員数)が製造業その他・宿泊業・娯楽業で20名以下、その他業種で5名以下の法人または個人事業主』
となっています。
補助対象経費について
個人的にはここが一番のポイントと感じています。
「事業再構築補助金」はものづくり補助金では補助対象外となっている「建物費」「広告宣伝・販売促進費」「研修費」も補助対象となっています。
例えば、飲食店で新店舗の建設やテナントの内外装工事費などはものづくり補助金は補助対象外ですが、事業再構築補助金では補助対象となります。
また、ホームページ制作やチラシ、ネット広告、従業員研修なども同様です。
一方、「ものづくり補助金」だけにあるのが「原材料費」です。
「ものづくり補助金」は新商品開発に係る経費も補助対象としていることからこの原材料費も補助対象となっています。
では、どちらがいいかというと、店舗型ビジネスをやっている事業者で新しい店舗を出店するとか、製造業で新しい工場を建設するなど内装工事が絡む新事業をやるという場合には「事業再構築補助金」一択と言えます。
事前着手について
こちらも大きな違いの1つです。
事業再構築補助金もものづくり補助金も採択後、補助金を受け取る権利を得るための「交付決定」というのがあるのですが、どの補助金も原則この交付決定が出た日以降に取り組んだ経費しか補助対象となりません。
ただ、「事業再構築補助金」の『最低賃金枠』と『物価高騰対策・回復再生応援枠』だけは例外で、事前に交付決定前にも取り組みを行うことを申請しておけば、交付決定前の取り組みであっても2022/12/1以降の取り組みであれば補助対象経費にすることができます。
これは「コロナの影響を受けて売上が減少している」事業者が対象となることから交付決定まで待っていては経営が立ち行かなくなる事業者が出てくるであろう、という配慮だと思われます。
まとめ
冒頭にも書いたように、「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」はそれぞれ要件が異なるため、自社の状況に合う補助金を選択するといいかと思います。
ただ、個人的には事業再構築補助金の方が使いやすい印象がありますので、コロナの影響を受けている事業者で内装工事も絡む新事業を行うのであれば「事業再構築補助金」での申請を勧めています。
ただ、事業再構築補助金の方が採択率も低く、提出する書類の量も多いのでものづくり補助金と比べると難易度が高いのと手間ひまも格段に増えます。
それも踏まえてどちらにするかは経営者の経営判断にお任せします。
ただ、どちらにしても今は国が積極的に補助してくれる最高のタイミングなので、何か新しいことを始める際はぜひ補助金を活用してみてください!
今回はここまでです。
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